旅記

生存報告あるいは将来的な墓標として

アジア側イスタンブール

韓国そしてドーハ経由でトルコに向かう。

 

中東系の航空会社あるあるは、乗客に子供が多いことだと思っているが、欧州行き便に比べたら韓国ドーハ便は静かだった。しかし11時間満席フライトは普通にきつい。

 

一睡の睡がまどろみだとしたら、三睡の出来とでも言おうか。映画を一本見終えることもなく安静にしていた。

 

ちなみにアラビア語に英語字幕がついた映画を見ていて、結構面白くはあった。

Ughneyat Alghurabというタイトルで、Raven Song という英語タイトルがついている。netflixで見られるらしい。

アラブの内向的な男と変にひょうきんな男二人組の話。冒頭から主人公の夢の中で脳がボヨンボヨンと空から降ってきて良かった。

 

まあそれはそれとして。

 

マイルをコツコツ貯めているのだからビジネスにすれば良かったかと一瞬考えるが、それはもう少し重要な時のために取っておくべきと考え直す。そもそも欧州滞在時に親が来る時にあまりにもしんどそうだったから始めた事だ。

 

良かったのは、朝ごはんとして牛ひき肉のお粥があったことだ。フライトメニューでお粥は初めて見た。身体に染み渡る味がした。

 

着陸近くになって、荷物をまとめようとリュックを足元から引き出したら、表面がずぶ濡れになっている。配られた水のボトルを座席前のポケットに入れていたのだが蓋をきちんと閉められていなくて全てリュックの上に漏れてしまっていたようだ。

慌てて電子機器類を確かめたが、一応は大丈夫そうだった。トイレからペーパーを持ってきて持ち物を拭いていく。そうしているうちに、リュックは少しずつ乾いていった。Colemanの性能と飛行機内の乾燥具合は目を見張るものがあるということか。大事に至らなくてよかった。

 

ドーハの空港で2.5時間のトランジットがあり、これはつつがなく進行した。かなり朝早かったが大量の移民を配置した手荷物検査場は賑やかだ。これくらいワチャワチャしていると検査官もそれなりに生気のある目で仕事をしている。

 

ゲート近くには男女別のQuiet roomなるものがあって、足を伸ばせる椅子が置いてあり、人々が目を覆って静かに休んでいる。しばらく静かなところで足を伸ばせて助かった。24時間空港として、ドーハはいい空港だ。派手でよくわからないオブジェとあまりにも広い免税店には圧倒されるけれど。

 

世界中の中継地点なので、行き交う人が真にさまざま、ユニバーサルデザインにする気概とせざるを得ない状況両方がありそう。

老若男女、アバヤにタンクトップ、公衆電話と無料Wi-Fiの両方がある。個人的には赤子のおむつ替えルームが両親利用可能だったことが良かった。

 

トルコまでは小さめの飛行機で、ゆるい雰囲気だ。

映画の続きを見ようと思ったが次の飛行機では画面がなかった。インド出身だろうあんちゃん達がちゃきちゃき仕事をする。食事も一度出た。

 

雲が薄くかかり空が綺麗だった。

隣がいなかったので少し眠ることができた。

 

イスタンブールに着くと、雨と風の出迎えを受けた。

トルコにはこれまで合計3回来たことがある。アジア側イスタンブールのサビハギョクチェン空港に降りたったのは初めてだ。最近は小さめの空港と街が気になっているので、もう旧市街には行かず、ランダムに選んだ場所を探索して見ようと考え、あえてこちらの空港の便にした。翌日も、この空港からドイツに飛ぶ。

 

女性飛行士の名前を冠したこの空港はボスポラス海峡のほとりまでメトロで繋がっているので、そちらのホテルにしようかとも思ったが、イスタンブールはまたいずれ来るだろうし、半日しかないので行ってももったいないだろう。

 

入管は静かだが混んでいた。ドーハと打って変わって移民の労働者は見かけない。(というかドーハではカタール人が働いているのをまだ見ていない気がする。以前入国した時の記憶がないだけなのかもしれないが。)

 

混んでいるので、早いレジをかぎ分けるために日頃から鍛錬している能力が生きてくる。

隣のレーンで、入管と意思疎通不可の男性が立ち尽くしている。

対照的に私は何の質問すら受けず、灰色の瞳と白髭面をした入管職員のフゥンという鼻音を伴った頷きと共にスタンプをあっさりもらい通過した。