旅記

生存報告あるいは将来的な墓標として

オートメーションとエラー

私は旅が好きで、1人で色々な場所を訪れてきた。

今回も仕事終わりに行ったことのない国に行こうと、ボスニアの首都サラエボへの飛行機をとっていた。

 


さて、トルコからドイツに飛行機着き、入管に進む。やっとついた…。久しぶりにトリッキーな旅程を組んだので長くかかってしまった。

ドイツに来るのは三度目な気がする。北の方となにか違うだろうか。とりあえず同行者と合流しなければ。人の少ない静かな空港の通路を指示サインの通りに進みながら考える。

 

入管は狭くて、少し混んでいた。トルコから着いた人たちはパスポートに在留資格カードをセットして待っている。

 

私ことただの日本で雇われている日本人旅行者は、ビザの用意も何もない。ドイツの滞在期間、その後の旅程を聞かれ、ボスニアに行く予定があると話すと予約画面を見せるように言われたので携帯を取り出す。

 


自分にしては珍しく完全に旅程をつめているので何も言い淀むことがない。そうお気楽に構えていると、入管職員が怪訝そうな顔を見せた。

 


「これ、6月になってない??」

 


えっ????

 


画面を見るとJun.の文字。

 


1月と間違えた?そんなことある??でも何度見てもJanでなくJunである。やらかしたらしい。

 

あちゃー、という表情をしていると、年若い入管職員の顔が一瞬和らぐ。普段着で穏やかな日常を過ごしている彼女の走馬灯を見たような気がした。

 


とりあえず後ろも詰まっていることなので、トルコから日本までのチケットと、ドイツでの滞在先の予約画面を見せて、その場は通してもらえた。

 

しかし、うーーん、どうしよう。

 


手荷物受け取り場を抜けたところで、先に別便でついていた同行者たちが迎えてくれた。無事に会えることが一番の懸案事項だったからもっとホッとした気持ちになりたかったけれど、ボスニアのチケットの件でソワソワしっぱなしだ。

 

車の中でチケットを見ると、どうやら冬の間は運行していないもののよう。どうやって間違ったのか…。

チケットを取り直すと半日しか、現地で過ごせないと分かったので今回は泣く泣くキャンセルすることにする。しかし、キャンセル画面に辿り着けない。LCC…。特に料金も戻ってこないだろうが、キャンセルしにくいのは勘弁してほしい。

結局チャットボットに聞いたらその画面で直接キャンセルしてくれた。私が時代についていけていないだけなのかもしれない。たまに目的なく外に出て色々な目に遭うのも大事だ、と思うことにしよう。